ワーキングメモリってようするに何なのか自分なりに考えた 後編
前回の記事で、ワーキングメモリとは情報を一時的に置いておく場所の箱のようなものであり、ADHDは「箱そのものの容量が少なさ+不注意による記憶管理力の無さ」が問題なのではないかと言う結論に至った。
前回の記事ではADHDが他のことに気を取られてしまい、買い物リストを忘れてしまうという内容だったが、簡単な解決方法がある。
日常生活レベルなら簡単な対策はできる
ADHDはうっかり何かを忘れやすいのは確かだ。
例えば買い物リストを忘れるならメモをとればいいだけだ。
スマホやケータイでもいいし、手帳に書き留めて置いてもいい。
ワーキングメモリが不足しているのなら「脳以外の場所に物理的に記憶しておけばいい」のである。
ADHDは買い物リスト以外にも、例えば鍵をかけ忘れてしまうとか、財布を忘れてしまうとか、傘を置いてきてしまうとか、日常茶飯事な人もいるだろう。
そんな人はメモの応用として「定期的に注意書きを見る」という動作を習慣づけよう。
スマホやケータイの待ち受け画面を注意書きにしておくなどしておけば嫌でも目に入るはずだ。
問題はそれだけでは補えきれない数々の場面
確かにメモ書きはワーキングメモリの足り無さを補ってくれるが、これは時間に猶予があったり、することが明確になっている場面に限る。
現実の生活においてはメモをとってる暇など無い場面は多々あるし、話を聞いてメモをとれる場面でもメモをとる為のワーキングメモリが足りてない場面があったりする。
また4コマ漫画にしてみよう。
そう、ワーキングメモリが少ないと途中からメモを取りきれない。
これはADHDにとってよくある「お前話聞いてたの?」ってやつだ。
メモをとりながら聞くにしても、頭に話を一時的に保存しながら書くということになるはずだ。一時的に保存出来る場所に限りがあると、パンクしてしまい途中から話についていけなくなる。
結局のところ、普通に会社で仕事をする限り「ワーキングメモリの少なさは大きな足かせとなる」のだ。
これこそがADHDはシングルタスクと言われる原因
ADHDはシングルタスクであるとよく言われている。
シングルタスクと言うのは日本語で言うと単独作業だ。
よく言われるマルチタスクというのは日本語で言うと複数作業。
ようするにADHDは「同時にひとつの物事しか同時にできない」のである。
先ほどのメモの話はマルチタスクではなかったと思うかもしれないが、あの話の中身を見ると1班・2班・3班の作業内容についての説明だった。
あの朝礼がエディー君の作業内容だけに話を絞ればエディー君も覚えられた(メモを取りきれた)はずだし、エディー君はエディー君の仕事のとこだけ覚えて置いてねって言う命令があった場合でも、それだけなら覚えられたはずだ。
しかしそれだけでは許されないのが大抵の会社だ。
自分の作業だけ覚えておくのは最初なら許されるかもしれないが、後々ボロがでてくる。
ワーキングメモリが多ければ、「同時にたくさんの情報を捌ける=マルチタスク」となるし、ワーキングメモリが少なくて、「同時に少ない情報しか捌けない=シングルタスク」となるのではないか?
僕たちはシングルタスクでの訓練しかしていない
はっきり言ってしまうと、ADHDが使えない奴と思われる理由としてワーキングメモリ不足がある。しかし、それは努力や勉強が足りなかったからそうなったのかと言うとそうではない。
子供の頃、学校で勉強した内容はなんだろう。
・国語
・数学
・社会
・英語
・理科
代表的な科目はこんなところだろう。
学校の授業では基本的に先生が言ったことをメモして覚えて、与えられた時間で問題をといたりそんな授業ばかりだ。同時に大量の情報を裁く必要はないし、基本的に一つのことに集中していればいい。
勿論ワーキングメモリ不足で先生の言ったことをノートに書ききれないなど、些細な障害はあったかもしれないが、それが致命的なミスとなることはないだろう。
結局のところ、「ワーキングメモリを鍛える教育は行われていないので、生まれ持った資質に左右される」のが今の社会だ。
しかし無理もない。ワーキングメモリの本格的な研究が行われ始めたのは1970年代からだからだ。
ワーキングメモリーを鍛えるには
実を言うとトレーニング方法は以外と少なく、2016年現在、主に2通りのトレーニング方法がある。
ひとつはコグメドワーキングメモリトレーニング。
お値段は5週間で69800円と結構お高いが、ちゃんとした専門家がつくと考えれば投資する価値はあるかもしれない。
もう一つはニンテンドー3DSのソフト、東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニングだ。
東北大学加齢医学研究所 川島隆太教授監修 ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング
鬼トレや3DSは発売から月日が経っており、もっていなくても20000円以内で揃えることが可能だ。それに試してみて合わなければ中古ショップにもっていけば半額は返ってくるだろう。
ちなみに僕は買ったばかりなのでまだ効果は確認できていないが、トレーニングの内容は脳に瞬間記憶を留める練習が沢山組み込まれているので、これを続けていれば効果はあるのではないかなと期待している。
もう少し触ってみたらまた記事にしたいところだ。
ちなみに川島教授はゲーム中にこんなことを言っている。
「私は頭の良し悪しはワーキングメモリで決まると考えています」。
脳のエキスパートである教授がこう言うのだから、やってみる価値はありそうだ。