ADHD的LIFE

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金スマ「発達障害について考える」をADHDの僕が考える

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2017年7月28日放送分の金スマで発達障害についての放送回があった。
発達障害をもつ、ピアニスト野田あすかさんの特集だ。
この記事はネタバレを含みますので、お気を付けください

僕は、正直最初は観る気があまり起きなかった。
というのも、どうも、この手の番組は昔から苦手だからだ。

障害持ちの人でも才能があって、それ次第では表舞台に立てるんだみたいな番組。
まるで、障害持ちのすべての人がそうであるように報道されて。

でも、当たり前のことだけど、実際は多くの人はそうじゃなくて、どうしようもない社会生活で苦しみもがいている。
だから今回もまた、一部の輝いている人だけにスポットをあてた、そんな番組なんだろうなと思っていた。

番組冒頭、発達障害の説明のテロップが流れる

番組冒頭、簡単に発達障害の症状の紹介がされた。「日常生活に支障をきたすことがある脳の機能障害の総称」。
言語」「社会性」「運動」等に何らかの障害があり、15人に1人くらいの割合に何らかの発達障害があるとのこと。

正直、その割合に驚くことはなかった。学生時代のクラスメイトに必ず数人はいたから。
そのうちの1人が僕で、今何とか生きていて、他の数人は・・・一体今何をしているのだろうか?そんな考えても無駄なことが頭によぎった。

それにしても、15人に1人という別にレアでもなんでもない症状に発達「障害」なんて大それた名前、付けていいのだろうか?

なんとなく、頭の中で「形が悪くて出荷できないキュウリ」が浮かんだ。
ちょっと曲がってしまったキュウリは経済が発展した日本では売り物にならない。
それと同じように、ちょっと変なところがある僕たちは発展した日本では扱いづらい代物なのかもしれない。

ピアニスト野田あすかさんの特集が始まる

前述のとおり、僕は観るまではあまり良いイメージがなかった。
というか、正直うらやましくて、そして妬ましかった。

・自分の趣味に没頭できる環境があって

・両親の理解もあって

・それをモノにできる才能があって

この条件が揃っているのだから、自分には用意されなかった環境が揃っているのだから。

でも、それは番組を観るにつれて間違いだったことに気づく。
彼女は僕よりも、ずっと症状が重かった。

彼女は、大好きな得意なピアノですら一つの曲を弾けるようになるまで一か月かかるという。

それは、発達障害の症状で、楽譜がうまく読めないから。
正確に言えば読めないわけではなく、弾きながら読めない。
物事を同時にすすめる(マルチタスク)に極端に弱く、弾きながら読むということがうまくできないのだ。

だから、彼女は新しい曲を覚えるために、スマホに録音したり、楽譜にマーカーで色を塗って視覚的に分かりやすくしたり、カスタネットでリズムを覚えたりと、人の何倍もの労力を使って曲を覚える。

そして、本番中にも頭の中で他の曲が流れてくることがあるという。
これは僕もあることだが、集中しなければいけない局面で、全然違うことを思い浮かんだり考えたりしてしまう。「衝動性」というやつだ。

もちろん、発達障害の「好きなことや興味のあることを何時間でも熱心に取り組む(過集中」のおかげで、ひたすら練習できるという面もあるのだろう。

でも、これが発達障害がない人なら楽譜を見ただけで弾けてしまうだろうし、本番中は衝動に悩まされることもないわけで・・・普通の人でも好きなことなら時間を忘れて熱中できるだろうし。と、ついたらればで考えてしまった。

日常生活に支障をきたす程の発達障害

その後、彼女の日常生活が報道された。

極度の方向音痴

一つの料理を覚えるのに1か月かかる(マルチタスク)

アドリブが全く効かない

子供の頃はほかの子がのっぺらぼうに見えた

これらは僕も苦手ではある。車を運転していたら慣れた道でも通り過ぎる時があるし、電話応対は出来る限りやりたくない。
アドリブは苦手だし、人の顔や名前を覚えるのは得意ではない。

でも、僕がそれらの苦手レベルを1だとしたら彼女は苦手レベル10くらいで。
正直レベル1でも結構生きづらいのにレベル10くらいだとしたら、普通の社会では生きていけないレベル。

だからこそ、ピアノを極められたのかもしれないけど、その代償はあまりにも大きいように思えた。

ピアノをやっていてよかった

彼女のピアニストとしての活躍の場に舞台が移った。
一人でのコンサートの風景から始まり、それは大成功に終わり、今度は初めてのオーケストラとのコンサートだという。

発達障害は普段と違う環境に適応するのが苦手で、彼女も例外ではなく、音に敏感な彼女はオーケストラと自分が奏でる音に混乱し体調を悪くした。

それでも何とかオーケストラとピアノが合わせられるようになり、コンサートは無事成功に終わった。

弾き終えた後、彼女は泣いていた。
取材の人が何で泣いていたのか聞いたところ、彼女は「オーケストラの人たちと音楽を通じて友達になれた。ピアノをやっていてよかった」と泣きながら語った。

僕は・・・思わず泣いてしまった。
この言葉は純粋にピアノをやっていてよかったことと、それまでの辛く暗い人生の二つを併せ持ったようなものだったから。

 

金スマ「発達障害について考える」を観てよかった

綺麗ごとばかりの番組でなくてよかった。

発達障害については、彼女みたいに重い症状ではない人のほうが多いだろう。
でも、大なり小なりそういった症状があって、自分の経験と重ね合わせたりして共感できる部分があるのではないかと思う。

記事には紹介しきれなかったけれど、コメンテーターとして出演していた栗原類さんも良いことを言っていて「自分の進路を理解してくれる親御さん」が大事と語っている。

もちろん、すべての子がうまくいくわけではないけど、できるなら応援してあげてほしい。